ギラヴァンツ三浦泰年監督が退任=「J2ライセンスしか獲得できずモチベーションを維持できない」

ギラヴァンツ北九州
15日(木)、ギラヴァンツ北九州は三浦泰年監督の退任を発表しました。三浦監督は退任の理由として「(ギラヴァンツが)J2ライセンスしか獲得できなかったことによりモチベーションが保てないため」としています。今シーズンから始まったライセンス制度の余波が早速監督退任という形でチームに現れたことになります。







以下、三浦監督のコメントです。

三浦監督コメント

「今日はお忙しい中、退任会見に数多くのメディアの方に来ていただき本当に感謝しています。今日だけでなく、各試合に向けての取材であったり、または選手取材、私への囲み取材であったり、本当に2年間、メディアの方には感謝しています。
昨日朝10時に辞任届というかたちで、今シーズンをもってギラヴァンツ北九州の監督を退任させていただきますということをクラブのほうに伝えました。その内容を温かく理解していただき、クラブ関係者の方にも感謝しています。
こういう退任会見というのを、2年前に就任したときから用意したわけではないですから、何を述べればいいのかは少し難しいのかなとは思います。ただ2年間、誠実に純粋に選手と向き合って日々トレーニングをし、努力をし、1つでも多くの勝利と1人でも多くの笑顔を獲得できるようにやってきました。その成果がこの2年間の成績だったと思っております。
退任の理由につきましては、今回のライセンス制度の導入でギラヴァンツ北九州がJ2ライセンスしか獲得しかできないということで、私の監督としてのモチベーションから退任することを決意しました。数多くの人たちに出会い、そういう人たちが支えてくれたにもかかわらず、こういうタイミングで新しいトライをすることをみなさんに認めてもらわなければならなくなった状況は、就任した当時には予知していたものではありません。ただ現実的にこういうことが起きた中で、私がしっかりした判断をしなければけない。そのしっかりした判断というのが、まずはギラヴァンツ北九州を辞任するという決断でした。本当に2年間、温かく見守っていただき感謝しています」

Q:退任を決断したのはいつだったのか?
「ライセンス制度が導入されたときに、このまま進んでしまえば、我々ギラヴァンツ北九州はJ1に、または今シーズンのレギュレーションで言えばプレーオフに出場できないのは、規約としてはわかっていたものの、現実に突きつけられた日は非常に苦しい思いでした。そういう中で今後どういうふうに判断していけばいいのかしっかり考えなければいけないのは感じていました。でも残り試合があるということ、私もプロであり、選手もプロである限り、最後の試合まで全うしなければいけないということ。それも勝利を目指さなければいけないということ。そういう中で悩みがなかったというのは嘘になりますが、悩みながらしっかりした判断をするのは11月11日(最終節)以降にしようと考えてやってきました」

Q:この2年間、どのように選手を育てようとしていたのか?
「2年間、いい仕事ができたと思います。思い出を聞かれればやはり1日1日のトレーニングに手を抜かず、純粋に誠実に向き合ってやれたというのが彼らの成長に繋がったと思いますし、我々が残すことができたポイントだと思います。もちろん選手も私もこのポイントで満足しているわけではありません。ただギラヴァンツ北九州というプロとして3年しか経っていないクラブが成し遂げたというものでは非常にいい成果を挙げたと思います」

Q:監督としてのファーストキャリアを北九州市で迎えたが、北九州市の何が監督の2年を支えてきたか?
「本当に温かい方が多く、数多くの人と出会い、話をすることは私の支えになったなと思っています。やらなければいけないという気持ちは非常に強かったです。1勝しかできなかった、そしてギラヴァンツ北九州というのは1勝のクラブという周りの人たちの考え方をどうしても変えたかった。それが日に日に、みなさんが温かく我々を見守るように変わってきてくれました。最初は本当に失礼な言い方をする方も正直いましたが、今では本当に誰もが勝ったときも負けたときも、おじいちゃんおばあちゃんが拳を作って、『次頑張ってね』と言ってくれます。いい人たちがいっぱいいる、未来は楽しいです。ポテンシャルも非常に高い街であり、クラブだと思いますし、そういう人たちも多く存在していると思います。私のできたことがどのくらいのものなのかは私が決めるべきでなく、周りの人たちに評価していただき、お互いが新しいトライ、新しいチャレンジを前向きにしていく必要があるんじゃないかなと考えています」

Q:ギラヴァンツ北九州には、これからどのようなクラブであってほしいか?
「辞任をするわけですから、去る者がこのチームの向かうところを言って去ることがいいのかどうかはまずは気になる部分ではあります。そういう中で、先ほど言いましたが誠実に前に進んでいってほしいなと考えております。本気でやらなければ、1勝というのは本当に取るのが難しいものだと思います。まだまだこの街の人たちは、誰かがやってくれるという気持ちを持った人たちが多くいると思います。来場者数なども、なかなか伸びませんでした。そういうことを考えると、全ての人たちが誠実に前を向いて、本気でこのクラブを大きくしていくことを考えて、これから、まだ3歳です。3歳の子どもが大きくなることを考えると、ドキドキしてきますよね。未来、どういうふうになるんだって。みんながこの3歳のギラヴァンツ北九州を大人に成長させていってほしいなと思います

Q:三浦監督にとってギラヴァンツ北九州はもう一度戻ってきたいクラブか? 北九州市はもう一度戻ってきたい街か?
「この街は本当に住みやすく、温かい人が多く、もちろんまたこの街に戻ってきたいと思います。辞任会見の席でいい辞め方というのはないなと思っておりますが、今後どういう監督になっていくか、またギラヴァンツ北九州にまた戻ってきてほしいと言われるような監督に成長しているか、または成長していくために、ここから新しいところに挑戦していくと。僕にファーストキャリアを与えてくれたクラブはこの北九州なわけですから、本当に感謝していますし、私のキャリアのスタートとしては本当にすばらしい2年間でした」

Q:北九州での経験を踏まえて、どういう指導者でありたいという個人の目標があるか?
「性格上、こういう席で大きなことを言うことはあまり好きではないですし、大きな風呂敷を広げるのも好きではないですが、しっかりしたビジョンとしっかりしたモチベーション、いま私が持っている考え方がしっかり通用する環境で指揮を執りたい。それは常日頃、または今後何歳になっても持ち続けているものだと思います。そういう中でみなさまにわかりやすく言えば、ACLをしっかり見据えて強化ができ、そこを目指していけるチーム、クラブというのが当面目指すべきところなんじゃないかなと思います。日本サッカー界を考えれば、日本代表監督とは言わないですが、日本を代表する監督に自分自身、成長していかなければいけない。監督人生は長くて20年、元気であれば25~6年できたとしても、もう2年、20年の10分の1が経ちました。時間というものがそんなに多く残っているわけではありません。だからといって焦るわけではないですが、監督人生をしっかり全うするために、この決断が間違っていないとなるためにも、しっかりした努力、精進を続けていかなければならないなと思っています」

Q:クラブライセンス制度には現場のマネジメントを超えた問題、例えば競技場の問題があるが、この制度について意見を聞かせてほしい。
「たらればになりますが、もしクラブライセンス制度が1年遅れていれば、3年目を迎えた可能性があったと思います。ライセンス制度について申すのは立場が違うとは思いますが、1年目、2年目、いい速度でチームを構築することができました。考えれば3年目はチームをより大きくするための集大成、大事な3年目だったのかもしれません。ただやはりチームを作っていく上で、J1またはプレーオフに出場できないとうことが、どれだけ指揮を執る、プレーをする選手、監督にどれだけ大きな痛手か。そこに目標があっても、届きそうで届かない。そこに行き着くことが本当に難しい2年間でした。今シーズンも6位まで勝点で7ポイント離れていました。昨年も最終節を大分に引き分けたことで8位にダウン。そこで勝てば6位でした。昇格というのが目標にありながらも、そこまでしか進めませんでした。制度があることで、モチベーションを失っても戦う、戦わせることの難しさを痛感しています。制度については世界でもライセンス制度を導入した中でしっかりした経営としっかりした設備、環境を整えていくことがプロクラブだと思いますので、我々であれば努力精進していくことは大事になってくるんじゃないかなと思います。我々現場では変えられない物理的な問題だったと思います」

Q:契約途中での退任について、ペナルティーは課せられないということだが、その点については?
「社長にもクラブにも感謝しています。育てながら勝利するという難しい1つの目標、そしてクラブの基盤作り、それらを5年計画でを見据えた中での3年間だったと思います。当時はまだJFLへの降格はなかったですが、降格圏内から脱出するところから中堅へというのが目標でしたから2年間である意味、成し遂げることはできました。そういう中で導入されたライセンス制度であったわけですから、契約期間を全うできなかったことについてはお詫びしなければならないのかもしれません。理解していただいた社長、クラブには感謝しています」

Q:退任理由はライセンス制度だけだったのか?
基本的にはこういう制度ができなければ…、ほかに何の理由があるのかと思っております

Q:一番誇りに思えることは何か?
「ともに戦った選手です。どんなに素晴らしいフロントスタッフがいても、監督がいても、ボールは蹴れません。ボールを蹴って走ったのは選手です。私が誇りに思えるのは選手だけです」

Q:11月末までトレーニングは続けていくが、この点についてどういう思いがあるのか?
「私の仕事はシーズンを戦う試合だけでなく、しっかりしたオフを過ごせるために身体のケアをする。そういうトレーニングは、こういうプレーオフという制度になって早くシーズンが終わる可能性になったときに感じていました。そういう意味では12月からをオフと考えたときに、11月30日まで彼らのコンディションをマネジメントするのが私の仕事かなというのが1つ。それと監督兼強化責任者という中で、選手の評価、今シーズンの彼らの評価を社長をうまく引き継ぎながら去る時間というものも必要であると思っています。あくまでも今シーズンは11月30日まで。12月3日にJリーグアウォーズがありますから、ここまでが仕事かなと思っています。ただ、いち早く新体制を作らなければいけないわけですから、それは昨日、社長と確認した中で、そういうふうにしてくださいということなので30日までやろうと思っております」